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中国足彩网エッセイ「中国足彩网の部屋」


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第8代中国足彩网 今井 康之

今回の話題「人間の好奇心について」

数年前から、学修成果の把握ということが大学に課された課題となっています。しかし、そもそも学習とは何かということを解明する必要があるでしょう。
人間の脳神経の網の目(ニューラルネットワーク)には、脳内の部位で役割分担があり、信号が行き来しているようです。神経細胞の結合点(シナプス)では、信号を受け取る側の神経細胞を興奮させたり抑制させたりして働きます。抑制性の神経の働きというと、興奮を抑えて怒りを鎮め、逆に働きすぎると抑うつ状態になるなど、大雑把にとらえられがちですが、実は注意の抑制という働きが「学習」には不可欠のようです。
近年発展が著しい生成AIに代表される人工ニューラルネットワークは、仮想的なシナプス(結節点、ノード)を含む多くの階層構造を持ちます。各ノードにおいて伝達強度が重み付けされ、神経伝達の「促進」と「抑制」に対応します。多量のデータを一度に学習するときには、もっともありがちな結果をだせるよう統計的に重みを最適化していきます。重みは、パラメータとも呼びます。各階層に、人間の脳のように役割分担があるのかどうかは、よくわかりません。
さて、今年のノーベル賞では、物理学賞および化学賞で人工知能 (AI) の研究者が受賞しました。物理学賞では、人工知能の基本的原理の発見に対してです。プリンストン大のジョン?ホップフィールド教授は、磁性材料において原子のスピンという値が、磁力の影響下で上向きになるか、下向きになるかというという問題を扱いました。エネルギーが最低となる状態で原子スピンのパターンを保存すると、あとで似た条件を提示することで、もとのパターンを再現できることを示しました。連想記憶と言います。トロント大のジェフリー?ヒントン教授は、絶対零度ではない状態での原子スピンを想定しました。この場合、熱エネルギーによる揺らぎ(ノイズ)があり、スピンの逆転が起きるようで、ボルツマンの統計力学に従います。ノイズはニューラルネットワークの働きに必要であることを示し、さらに「隠れた階層」の導入によって訓練速度を向上させました。
これらの成果は、異分野の融合によって成し遂げられています。といっても、各分野の専門家同士が連携した融合ではなく、個人の中での融合です。ホップフィールド教授は、「理論物理学、遺伝学、神経科学」の人で、ヒントン教授は、「コンピュータ科学、認知心理学」の人です。個々の研究者の好奇心が、分野を越えて成し遂げた偉業といえます。ヒントン教授は、人間社会における生成AIの安全性確保について、その重要性を主張しています。化学賞については、また次回。

2024年11月14日

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