関連するSDGs目標
SDGs見学会
2023年9月5日
本見学会の概要
静岡市の北部、南アルプスの山々の麓に位置する井川は、古くから自給自足の暮らしをベースにしている。神楽などの伝統芸能、在来作物の栽培、周辺地域と関わりのある神事、暮らしに合わせた独自の民具の所有など、多様で特徴のある地域である。ダム建設など、時代の移り変わりによる生活風習の変化はあるものの、現在でも、日々の生活を通して「井川らしい生活」を必然的に作り出し、『住み続けられるまちづくり』に取り組んでいる。見学会では、井川出身者や移住者から話をお聞きし、南アルプスの自然に溶け込む井川の風景、人々の営み、歴史や文化などを感じ、『住み続けられるまちづくり』について考えた。
見学先1:井川のまち歩きと井川湖周遊
井川の町中から井川ダムの遊覧船乗り場まで散策した。遊覧船では、地域おこし協力隊の金原みつみさんから井川の町の成り立ち、変遷、風習、人々の暮らし等について話を聞かせていただいた。井川ダムから水面越しに見た井川の町並みや山並みは美しく、参加者はそれぞれ風景を楽しんだり、写真を撮ったりしていた。
遊覧船の中で説明を受ける様子
見学先2:井川ビジターセンター
昼食を兼ねて井川ビジターセンターを訪問した。昼食を食べながら、参加者16名の自己紹介と参加理由を各自話した。かつて井川に親類が住んでいて話に聞いていた井川を訪問してみたかった、夏休みに普段できないことを経験したかった、人々の暮らしや在来作物に興味があった、など様々な参加動機が聞かれた。参加者は学生だけでなく、教職員も複数名いた。昼食後は、南アルプスユネスコエコパークの展示物を見て、エコパークの成り立ちを学んだ。売店では、井川メンパや在来作物から作ったクッキーなどを販売しており、お土産を買う参加者もいた。
見学先3:小河内地区
この地区に移住してきた若夫婦の農家さんに、地域で受け継がれ栽培されてきた在来作物を見せていただいた。通常のナスよりかなり大きめの“井川ナス”や黄色くなってから収穫する゛井川キュウリ”、在来のキビやソバなど様々な作物が栽培されていた。奥様が赤ちゃんを背負いながら、栽培の難しさや販売戦略などについて、丁寧に説明してくださった。
井川の在来作物
まとめ
道路工事などもあり往復に5時間を要し、井川には4時間弱しか滞在できず、同じ静岡市内であっても遠い場所であると実感した。南アルプスの玄関口で市街地から距離があるが、豊かな自然に囲まれ、在来作物や神楽、神事、人々の暮らしや町に対する思いを見聞きし、井川の人たちは自分らしい心豊かな暮らしをしていると感じた。研究対象にする学者も少なくなく、様々な分野の研究者がフィールドワークを行っていると聞いた。このように学術的に貴重な井川地域であるが、その将来について、人口減少傾向の中でどのように「井川らしい生活」を維持していけるのか、様々な思考を巡らせたことも事実である。